鬼切丸の伝説

舞台は人々がまだ日常の中に鬼や妖怪を感じて生きていた平安時代。
ある時、四天王のひとりである勇将・渡辺綱がその太刀を持って使いに出ます。
途中、夜の闇が恐ろしいゆえ送ってほしいと頼んできた美しい女が現れ、馬に乗せますが、その瞬間、恐ろしい形相の鬼に姿を変え、綱の束ねられた髪の毛をつかんで、空に舞い上がります。
しかし綱は少しも慌てずに太刀を抜くと、閃光のごとく振り抜き、鬼の腕を切り落としたのです。
鬼は飛び去りましたが、切った腕は綱の髪を掴んだままでした。

その後、家で7日間の読経に励んでいた綱ですが、6日目の夜に養母が訪ねて来ます。
養母を招き入れ、鬼を切ったいきさつを綱が語ると、養母は残った鬼の腕を見て「これはわが手じゃ!」と叫んで鬼の本性を現し、腕をつかむとどこかへ飛び去っていきました。
後日、綱はこれも 天満宮大神のおかげと神恩に感謝し、その後、源平合戦においては勝利をもたらした万として、源氏にとっての宝刀となりました。

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